個人発送で始める越境EC|手順と注意点

越境EC

「海外に商品を売ってみたいけど、どうやって送ればいいの?」
越境ECの第一歩として、多くの人が選ぶのが 「個人発送」です。

この方法は、低コスト・少量から始められるのが最大の魅力。この記事では、個人発送で越境ECを始める手順と注意点を、初心者にも分かりやすく解説します。


個人発送とは?

個人発送とは、自分で商品を梱包し、郵便局や宅配業者(DHL、FedEx、UPSなど)を使って海外の購入者に直接発送する方法です。
ショップの規模が小さいうちは、これがもっともシンプルで現実的な手段です。


個人発送のメリット・デメリット

メリット

  • 1個から発送できる:在庫を多く持たなくてもOK
  • 固定費が少ない:倉庫代や契約手数料不要
  • 自分のペースで始められる

デメリット

  • 1件ずつの作業が大変:梱包・伝票作成・発送
  • 送料が割高になることも
  • 税関対応がやや面倒

商品が売れてからやるべきこと(個人発送の実務)

商品が売れたら、次のステップは「確実に税関を通し、スムーズにお客様に届ける」ことです。ここをミスすると「税関で止まる」「関税トラブルでキャンセルされる」といったリスクがあります。

以下の流れで対応しましょう。


STEP1:発送前に必ず確認!税関で止まらないための準備

輸出していい商品か確認

  • 国によって禁輸品が異なります。
  • 例えば:
    • アメリカ:医薬品・化粧品 → FDAの許可が必要な場合あり
    • オーストラリア:木製品や種子 → 検疫に引っかかることあり

参考リンク:


商品のインボイス(税関申告書類)を正確に作成する

インボイスとは:
税関に「この荷物には何が入っているか」を伝えるための明細書です。

記載すべき情報:

項目記載例
販売者(自分)の住所東京都〇〇〇…
購入者の住所Mr. John Smith, 123 Main St, New York…
商品名(英語)Handmade Ceramic Plate
数量1
単価¥3,000
合計金額¥3,000
商品の用途Sale / Gift(※原則 “Sale”)
HSコード(可能なら)6912.00(例:陶器製の皿)

ポイント:

  • 商品名は「general goods」など曖昧に書くのはNG(通関で止まりやすい)
  • 「gift」と偽って書くと税関で差し戻しの対象になる可能性あり

STEP2:配送業者を選び、送り状を作成する

配送業者を選びます。初心者が使いやすいのは以下:

日本郵便(EMS / 国際eパケット)

  • 郵便局で受付、またはゆうプリタッチ(ラベル自動印刷機)対応
  • 国際eパケットなら小型包装物(2kg以内)で安く送れる
  • 発送時に税関告知書(CN22/23)を貼付け

日本郵便国際便:https://www.post.japanpost.jp/int/


DHL / FedExなど

  • 法人向けのイメージがあるが、個人でもオンラインで契約可能
  • 海外までの配達スピードが速く、追跡精度も高い
  • ただし、送料がやや高め
  • 送り状とインボイスはオンラインで一括作成可能

DHL MyDHL+ サービス:https://mydhl.express.dhl


STEP3:梱包とラベリング

  • 商品が壊れないように緩衝材(プチプチ・紙)で保護
  • 箱の外側にインボイス・送り状・税関告知書を貼る
  • 送り状の控えを保管しておく(問い合わせ時に使う)

STEP4:追跡番号を顧客に通知する

発送が完了したら、ECサイト側で「追跡番号」を購入者に通知しましょう。

  • Shopifyなら注文管理画面から配送情報を登録
  • メール通知で安心感を提供(トラブル防止にも◎)

よくある注意点と回避策

トラブル原因対策
税関で止まった商品名が不明瞭 / 用途が曖昧英語で具体的な商品名+「Sale」で申告
関税トラブル関税が高額 / 購入者に伝えてない商品ページに「関税は購入者負担」と記載
破損・紛失梱包が甘い / 無追跡便を選んだ緩衝材を十分に入れる+追跡付き配送を選択

個人輸入として送るとどうなる?(グレーゾーン解説)

「越境ECって個人輸入の扱いにすれば簡単に送れるんじゃないの?」
そんな風に思った方も多いのではないでしょうか。

実際、海外のお客様に商品を販売する際、税関上「個人輸入」として扱うケースも少なくありません。ただし、この方法にはリスクやグレーな要素が潜んでいるのも事実です。

この記事では、「個人輸入」として商品を送る場合の仕組み・リスク・対応策についてわかりやすく解説します。


そもそも「個人輸入」とは?

海外の個人が「自分で使用する目的」で商品を輸入する行為を指します。
商売ではなく個人の趣味・生活用途が前提のため、関税や規制が緩やかなことが特徴です。

たとえば、日本からアメリカに商品を送る際、

  • 受取人が個人
  • 商品量が少量
  • 販売目的ではない

このような条件を満たすと「個人輸入」として通関される可能性が高くなります。


越境ECで「個人輸入」として送る仕組み

あなたがネットショップで商品を販売しても、購入者が個人であれば「個人輸入」扱いになるケースもあります。

これは、購入者本人が「自分で買って、自分で使う」と見なされるためです。

ただし!
ショップ側が意図的に「個人輸入」として通関させるために、

  • インボイスに低価格で記載する
  • 商品内容を曖昧に書く
    といった行為をするのはグレーまたは違法の可能性があるため注意が必要です。

「個人輸入」でよくある通関トラブル

1. 関税の想定外請求

  • 本来は商品価格に対して関税がかかるが、インボイスの記載ミスで後から高額請求されるケースも。

2. 検疫・規制品の没収

  • 食品、化粧品、医療用品、電化製品などは、各国で輸入制限があります。
  • ラベル表記や許可証が不十分だと、没収・破棄されることも。

3. 販売目的と見なされる

  • 一度に大量に送ったり、頻繁に同一住所へ発送していると、「商業輸出」として目を付けられます。
  • 税関で調査対象になるリスクあり。

グレーゾーンを避けるためのポイント

ポイント内容
インボイスの正確な記載商品名・価格・用途を正しく記載。曖昧な表現は避ける。
国別の輸入制限を確認食品・化粧品などは特に注意。事前に販売国のルールを把握。
取引量をコントロール1回あたりの出荷量や頻度が多いと商用と見なされる可能性。
トラブル対応を明記商品が届かない、税金がかかった場合の対応方針をサイトに記載しておく。

「個人輸入」に頼らない方法も考えよう

リスクを避け、安定的に販売したいなら、以下の方法を検討するのがおすすめです:

  • 現地業者を通じて発送(通関処理もお任せできる)
  • Amazon FBAやShopify Fulfillmentなどのフルフィルメントサービスを活用
  • 各国向けの許認可を取得したうえで、正規の通関ルートで送る

まとめ:個人発送を成功させるためには「誠実な申告」と「丁寧な準備」がカギ

個人での海外発送はハードルが高そうに感じますが、ポイントを押さえておけば初心者でも十分対応可能です。

  • 税関で止まらないよう、インボイスは正確に
  • 信頼できる配送業者を選び、追跡番号を共有
  • 梱包と表記を丁寧に行えば、トラブルは大幅に減る

慣れてきたら、現地倉庫やフルフィルメントの活用も検討していきましょう。